高知の漁業とは
中型まき網
火光利用中型まき網漁は、夜間に集魚灯を利用してアジ・サバ・キビナゴなどを集め、網で巻いて獲る漁法です。高知県では、宿毛湾で行われており、毎年8千~1万5千トン、7億~19億円の水揚げがあります。
また、宿毛湾では、5トン未満の網船で操業する小型まき網漁業も操業しており、地域の重要な漁業の一つとなっています。
機船船びき網
機船船びき網はバッチ網とも呼ばれ、以前から土佐湾沿岸の基幹漁業の一つとして発達してきました。
漁獲対象とするのはイワシシラス(イワシの稚魚)で、大きな河川の河口周辺に漁場が形成されやすく、東部では安芸川、伊尾木川、中部では物部川、仁淀川、西部では四万十川の河口周辺で主に操業されます。
曳船2隻(4~10トン)と船外機船などの運搬船1隻(1~3トン)の3隻で操業します。一般的には、それぞれの船に1名づつ乗り、計3名で操業します。
操業は日の出から開始します。魚群探知機で魚群を探し、漁獲量が多いときは、1日4~5回曳網することもあります。曳船は常時網をひき、運搬船は1回の曳網毎に魚取からシラスを取り上げて港まで運びながら操業を続けます。
カツオ一本釣り・ひき縄
カツオは、高知県民が年間に購入する量が全国1位であるほか、「高知県の魚」にも選定(昭和63年)されるなど、高知県には馴染みの深い魚です。
高知沖のカツオ漁業には、主にひき縄漁と一本釣り漁があります。操業は周年行われていますが、主な漁期は春(4~5月)と秋(10~11月)です。
水揚げ地は、室戸市、奈半利町加領郷、土佐市宇佐、中土佐町久礼、黒潮町佐賀、土佐清水市、宿毛市など数多くあります。
カツオ一本釣り
魚群を発見すると、カタクチイワシなどの活餌をまき、カツオを集めます。散水機で海面にシャワーを注ぎ、小魚が逃げているように錯覚したカツオが、カブラという擬似餌に食いつき、次から次へと豪快に釣り上げられます。
ひき縄
10トン未満の小型漁船で、疑似餌を付けた漁具をひき回す漁法です。カツオ以外でもマルソウダ(メジカ)やマグロ類の漁法として行われています。
キンメダイ釣り
キンメダイは約200~800メートルの深海に生息する金色の大きな目と朱色の魚体が特徴の高級魚です。
高知県におけるキンメダイ漁の歴史は浅く、昭和60年代から本格化しました。それまでにも他の魚との混獲で漁獲されていましたが、今では考えられないほどの安値で取引されていました。
主な漁法としては、木製のタルに、道糸と針のついた枝糸を約50本つけた漁具を潮流に流す「タル流し漁」と、道糸に針のついた枝糸を約80本つけた漁具を船の上でしゃくる(上下させる)「手釣り漁」の2種類があります。
また、手釣り漁には、エサの代わりに毛針を使う方法があります。
漁業の概要
漁船規模 | 5~15トン |
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乗組員数 | 1~2人 |
操業時期 | 周年 |
主な漁場 | 室戸岬沖、足摺海丘 |
メジカひき縄
メジカとは、マルソウダという小型のカツオ類の地方名で、高知県は全国1位の水揚げを誇っています。
蕎麦のだし汁に欠かせない宗田節に加工されており、その生産量は全国シェアの80%を占め、主産地の土佐清水市では、宗田節加工業が地域の重要な産業となっています。最近では、スティックや角煮といった加工品も製造されています。
冷凍のイワシシラスなどをまき餌に使い、集まってきたメジカを疑似餌(カブラ)で釣る漁法です。漁場では、船を左旋回で円を描き、まき餌が常に円の中心に来るように操船します。
まき餌は専用の容器に冷凍したままの餌を入れ、これに海水を徐々に流し、溶け出していく仕組みになっており、一人でも操業できるようになっています。一人乗りの場合で3~5組の漁具を使用します。
漁業の概要
漁船規模 | 5~10トン |
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乗組員数 | 1~2人 |
操業時期 | 1~6月、9~12月 |
主な漁場 | 足摺岬沖~叶岬沖 |
サバ立縄
サバにはゴマサバとマサバの2種類がありますが、高知県沿岸で主に漁獲されるのはゴマサバです。
ゴマサバは県内各地で水揚げされる主要な魚種の一つで、いくつかの水揚げ地ではブランド化の取組が行われています。
サバ立縄漁は、室戸市や土佐清水市などで営まれています。
20~25本の針のついた漁具を使用し、浮きには一斗缶や発砲スチロールを使います。
午前2時頃出漁し、日の出より1時間半から2時間前に漁場に着くと、魚群探知機で魚群を確認し、40組ほどの立縄漁具を1つすづ流します。漁具を流し終わると、最初に投入した漁具から順番にあげていきます。
漁業の概要
漁船規模 | 5~10トン |
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乗組員数 | 1~2人 |
操業時期 | 周年 |
主な漁場 | 足摺岬沖、室戸岬沖 |
小型底びき網
小型機船底びき網漁業は、エビ類やヒラメなどの海底に生息する魚介類を獲る漁法で、網口に網を拡げるための竹が取り付けられているために、俗に「竹張り」とも呼ばれています。
底魚資源を効率的に獲る漁法は、底びき網以外にない反面、漁獲圧力が大きくなり易いことから、資源への影響をコントロールするため、網の目合い、操業区域、操業時間などの様々な規制が設けられています。
午後6時頃出漁して、曳網、揚網を繰り返しながら同時に船上で漁獲物を選別します。
定置網
大型定置網は、大敷(おおしき)と呼ばれ、室戸市や土佐清水市の沿岸を中心に県内各地で営まれています。
主な漁獲物は、アジ、サバ、イワシなどですが、2月から春先には寒ブリの大群が入網することもあり、漁港は活気に溢れます。
ウルメ多鈎釣り
毛針を用いてウルメイワシやゴマサバを釣る漁法です。一つの仕掛けに毛針が約120本付いています。これを、船の右舷側と左舷側で交互に投入し、効率よく操業します。
ウルメイワシは、周年釣ることができますが、大半が干物に加工されているため、需要の増える冬季が主な漁期となっています。近年は、ウルメイワシのブランド化のため、地元加工業者と連携し、新たな加工品の開発や生食用での流通に取り組んでいます。
魚類養殖
高知県における魚類養殖は、生産量は2万トン前後、生産額は200億円前後で推移しており、県の総漁業生産額の3分の1を占める重要な基幹漁業です。
主な養殖魚種はマダイ、カンパチ、ブリで、全生産量の8割を占めており、その他にもマアジ、イサキ、スズキ、クロマグロなども養殖されています。
【主な産地と魚種】
浦ノ内湾:マダイ
野見湾:マダイ、カンパチ
宿毛湾:マダイ、カンパチ、ブリ、マグロ